グローバル・レインボーシップ 理事長
国会タイムズ社 会長

五味 武

『告発こそが小型新聞の使命である』と確信して、ひたすら足で書き続けた30年。ふり返れぱ、現職首相に内容証明までぶつけたあの田中金脈告発は、立花記者の2年も前のことだった。3冊の告発本まで出した日本船舶振興会キャンペーンは、史上最長の15年間。入手したグリーンノートがフィニッシュとなった三越乱脈事件。野党議員をレクチャー、国会で追求した中央競馬界汚職。裏金の受け取り現場を暴露、沖縄県議会を大紛糾させた、チャタン上水場汚職。現職議員の逮捕となった砂利船汚職告発。記事ぱかりか体当りで告発した投資ジャーナル事件。入手した極秘文書が決め手となって、元検事の弁護士が逮捕された平和相銀事件。そしてあのリクルート告発は、朝日新聞より実に一年半も前に火の手を上げていた。

  さらにぜネコン汚職を予言した問題キャンペーンは、昭和62年7月から、実に55回にわたって続けられた。さらに名誉毀損覚悟で体当たりした金丸キャンペーン。税金無駄遣い公益法人告発等々。まさに息つくひまもない大スクープの連続である。おそらく大新聞の記者など、足もとにも寄れなかっただろう。    

  信念を曲げない/ペンを析らない/権力に屈しない/を貫き通した30年。巨悪と対決してきた反面、私五味武は、人一倍情にモロい男である。ある代議士が「ペンを持ったら鬼のような男だが、こればど情のある人もいない」と言ったことがあるが、弱い立場の人たちや、恵まれない人たちとの交流を永い間続けて来た。

  毎年開催される、母子・父子家庭1000名慰安の「東京を明るくしよう会」は、昭和38年から始まり、今日まで39年間。難民救済も、インドシナのボートビープルが日本に上陸して、定住センターができた今日まで22年間。海外活動は昭和56年の、タイ・カンボジアを第1回に、40回になんなんとしている。よくもこれほど続けられたものだと、自分ながら感心している。

  勿論、財産も経済力もない、一介の新聞人のできることではない。グローバル・レインボーシップ=GRS=の同志の皆さんが、私を表裏一体となって、金集め、物集め、人集めに奔走してくれるからだ。そして何より忘れてならないのは、われわれの精神的主柱として、福田赳夫先生の大きな存在があった。そしてもう一人、基金を出してくれた陰徳の人の存在である。

  その人の名は本人の希望でもあり、発表することができないが、この方の協力がなけれぱ、ペトナムやカンボジア難民も、アフガンの難民も、バングラデシュの水害にも、湾岸避難民も、イラクの子供たちにも、クルド難民にも、エチオビアの飢餓にも、ガーナ、ギニアでも、実効ある援助はできなかった。この方こそ、私どもの恩人であると同時に、難民や孤児たちの恩人であると言って過言ではない。五味武生ある限り決して忘れることはないだろう。

  さて、今年平成10年(1998)の千支は「戊寅」、寅は千里往って千里還る、というが、年男の五味武は、ボランティアで既に地球7周半を越している。

  おそれくこれからも、生涯現役で84、5歳位迄、一年三回を目標に、野垂れ死するまで続けることになるだろう。ガンコ一徹の会津のサムライ、行先どうあれ我が人生悔いなしである。

                                            (平成15年1月10日 記)



















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